当社は、「古着女子」というInstagramメディアからスタートした会社です。
SNSでの発信・コミュニケーションを起点にファンをつくり、その世界観をそのままD2Cブランド※1として形にしてきました。事業の源流がメディアなので、「SNSでどう見えるか」「どう共感してもらえるか」を前提に、商品やブランドを設計してきたのが特徴です。
現在は、Z世代向けのストリートブランドやコスメブランドを中心に、取材時点で33ブランドを展開しています。店舗もグループ会社を含めて57店舗(2025年9月末時点)となり、東京・大阪・名古屋といった三大都市圏だけでなく、福岡や札幌など地方中核都市にも展開を広げています。
会社の平均年齢は24歳前後。お客様と年齢も感覚も近いメンバーが商品企画やブランド運営を担っていることが、Z世代のお客様の心をつかんでいる要因の一つと感じています。
※1 D2C(Direct to Consumer):中間業者を挟まず、自社で商品の企画・製造から販売まで一貫して行うビジネスモデル。
Z世代に大人気のストリートブランド『9090』東京店 店内
フランス発のデニムブランド『MARITHÉ FRANÇOIS GIRBAUD(マリテフランソワジルボー)』 原宿店 店内
上場を見据えた「レジ乱立」と「人力DWH」からの脱却
複数レジとスプレッドシート運用の限界
オフライン展開の初期は、ポップアップや移動販売からスタートしました。その時期には、複数の POSレジが併存しており、M&Aした会社ごとに異なるレジが入っているなど、レジ環境が乱立していた状況でした。
同じタイミングで上場を本格的に目指し始めたこともあり、
- 今後の多店舗展開を見据え、レジを統一したい
- 売上・在庫・決済といった数値を、会計に耐えうる水準で一元管理したい
という課題が明確になってきました。
一方で、売上や在庫、EC、倉庫、モールのデータ分析は長らくスプレッドシート中心で運用していました。
各サービスの管理画面から売上や在庫データをダウンロードし、スプレッドシートに取り込み・加工するという、いわば「人力DWH※2」のような状態です。
※2 DWH(データウェアハウス):複数のシステムからデータを集約し、経営分析やレポート作成のために整理して蓄積するデータ基盤のこと。
株式会社yutori 経営企画チーム ジュニアプロデューサー 梅田様
スマレジの決め手は「多店舗展開」と「正確な在庫管理」
レジの統一を検討する中で、私たちは3種類のPOSを候補に挙げて比較検討していました。特に重視していたのは、「多店舗展開に耐えられること」と「決算数字とブレないレベルで正確な在庫管理ができること」の2点です。
その観点から、具体的には次の3点を要件としていました。
- 複数店舗を前提とした「多店舗管理」のしやすさ
- 棚卸し・在庫移動など在庫の動きが、決算数字とブレない形で管理できること
- 現金を含む精算処理の正確さ
比較の結果、これらをバランス良く満たしていたのがスマレジでした。あるレジは棚卸しの概念がなく、別のレジは多店舗の数値管理に弱いなど一長一短がある中で、スマレジは「多店舗展開」と「会計精度」を両立できる点が決め手となりました。
結果として、売上・決済・在庫を切り分けて管理できるようになり、「店舗の売上はいくらで、在庫の評価額はいくらか」といった基本的な問いに、正しい数字で答えられる体制を整えることができました。
株式会社yutori プロデューサー 青嶋様
ストアレコードで「ブランド横断の共通ダッシュボード」を実現
週次レポート工数が「週1時間→ほぼゼロ」に
ストアレコードを導入したのは、「売上・在庫・利益の数字をもっと“見える化”したい」という課題からです。
スマレジや Shopify をはじめ各システムにデータ自体は存在していたものの、それぞれの管理画面に散らばっている状態では、ブランド横断での比較やチャネル別の分析を素早く回すことができませんでした。
導入前は、Shopify、スマレジ、倉庫システム、ZOZOTOWN など、それぞれの管理画面からデータをダウンロードし、スプレッドシートに取り込んで加工し、週次の在庫レポートや月次の販売レポートを組んでいました。
ストアレコード導入後は、これらのデータ取得や集計を API 連携で自動化し、「ブランド横断・チャネル横断で同じ指標を見られる共通ダッシュボード」として活用できるようになりました。
その結果としてまずわかりやすいのは、アパレル事業の経理・管理を担っている自分たちの作業時間の削減です。
ストアレコード トップページの売上・利益のグラフ デモ画面
各部署が自分の視点で数字を取りに行ける環境に
現在は、ブランドのMDや複数ブランドを統括するマネージャーなど約30名にアカウントを発行しており、ダウンロード履歴を見ると、月間で数百件単位のCSVが各メンバーに利用されています。
週次の在庫推移レポートを各ブランドに還元する用途はもちろん、OTB計画や新作の販売動向確認、チャネル別売上推移の把握など、
各部署が自分たちの視点でデータを取りに行き、加工して使うスタイルが定着してきました。
そのため、削減できているのは「経理・管理側でレポートを作成する時間」だけではありません。これまで各部署がそれぞれのスプレッドシートで集計したり、必要なたびに数字を取りに行ったりしていた時間も、
ストアレコード上で共通フォーマットを使うことでかなり圧縮できています。
全体として見れば、
組織全体で月間「数十時間」規模の業務削減につながっている感覚があります。
単に工数が減っただけでなく、「数字を見たい人が、同じ前提のデータに自分でアクセスできる」状態になったことも大きな変化です。
ストアレコード 店舗別売上ダッシュボード デモ画面
独自開発BIからの乗り換えで感じたSaaSの強み
もともと私たちは、BIツールと外部開発を組み合わせた独自データ基盤も試していました。ただ、小売特有の「売上」「在庫」「粗利」のロジックを要件定義で正しく伝えるのが難しく、仕様変更のたびに「正しい数字が出ているのか?」を検証し直さなければならないという課題がありました。
その点、
ストアレコードは小売出身の方々がつくっているサービスなので、「小売企業としてどの指標をどう見るべきか」が最初から織り込まれています。
もし同じレベルの基盤を自前で開発しようとすると、初期費用だけでもかなりの金額(1,000 万円規模)になると思いますが、SaaS として利用料だけで使えるのは大きなメリットだと感じています。
若者の「初期衝動」を数字で見る、Z世代ブランドの成長指標
アパレル事業の経理・管理を担う立場では、ストアレコード上のデータをもとに、ブランド別・チャネル別の売上・在庫推移、新作商品の販売初速、プロパー消化率や割引率の推移などをモニタリングし、予算と着地見込みを随時アップデートしています。
特に重要視しているのは、「販売開始からの消化率(初速)」と「プロパー消化率」です。
私たちは「若者の初期衝動」をとても大事にしていて、SNSで盛り上がった商品が、発売後どれだけのスピードで売れていくかを、1つの成否のバロメーターとして見ています。
プロパー消化率・割引率の推移についても、継続して確認しています。プロパーでどれだけ売れているかを正しく追えることは、短期の売上だけでなく、ブランドをどう育てていくかを考えるうえでも重要だと感じています。
店舗統括のメンバーは、ストアレコードの在庫データを使って、店舗間の在庫の偏りを把握し、「どの店舗にどの商品をどれだけ送るか」といった判断材料にしています。感覚や経験だけではなく、
データをベースに在庫移動や追加出荷を決められるようになったのは、多店舗展開をするうえで大きな前進でした。
もう1つ大きいのは、「必要なデータがどこにあるか」が社内で共通認識になったことです。
以前は「この数字はどのシステムから取ればいいのか」が人によってバラバラでしたが、今は「このテーマならストアレコードを見ればいい」という共通の土台ができました。その結果、MDや店舗統括を含むメンバーが能動的にデータを取りに行くようになり、数字を見る意識も変わってきたと感じています。
ストアレコード 週次の売上時系列ダッシュボード デモ画面
YZ STOREとOmni HubでOMOの土台づくり
ECについては、Z世代向けブランドのM&Aをきっかけに、ブランド横断で購入できる自社モール「YZ STORE」へと段階的に統合しました。
近しい世界観のブランドを「買い回り」するお客様が多かったことから、ブランドごとに別サイトを持つよりも、「1つのサイトで複数ブランドをまとめて買える」方が利便性が高いと判断したためです。
さらに、実店舗での出店ブランドも増え、YZ STOREに出店するブランドの店舗数が10店舗前後まで増えてきたタイミングで、「モールとして会員プログラムを運営したい」「店舗売上も含めて一体的に顧客データを見たい」というニーズが強まりました。
そこで導入したのが、Shopify とスマレジをつなぐ会員連携アプリ「
Omni Hub」です。
- お客様は店舗でバーコードを提示するだけで良く、特別な手続きなしに会員連携が完了する
- 店舗・EC をまたいだ購買履歴を、1つの顧客として把握できる
といった体験が実現し、OMOの土台となる会員基盤をスムーズに構築することができました。
在庫については、あえて「EC在庫」と「店舗在庫」を分けて運用しています。Z世代向けの熱量の高いブランドが多く、先にECで販売し、その後に店舗で新作を発売するモデルを採用しているため、すべてを一元化してしまうと EC だけで売り切れてしまい、「実店舗で実際に見て選ぶ」という体験が損なわれてしまうからです。
一方で、一部ブランドではスマレジの在庫数を Shopify 上に表示するための開発も実施し、「ECでは売り切れだが店舗には在庫がある」といった状態をお客様に伝えられるようにするなど、ブランドや商材の特性に応じて在庫表現を使い分けています。
YZ STORE TOPページ
感性とデータでブランドを育てる、多ブランド時代のこれから
私たちは今後も、国内外でブランドと店舗の展開を段階的に広げていきたいと考えています。東京・大阪・名古屋といった大都市圏に加えて、福岡や札幌などの地方中核都市への出店機会を見極めながら、それぞれのブランドにとって相性の良いエリアを増やしていく想定です。海外については、すでに動き始めている台湾・中国といったアジア圏での展開を、ブランドの成長に合わせて少しずつ広げていきたいと考えています。現在もブランド数は増加傾向にあり、新しいコンセプトのブランドやコラボレーションの立ち上げも検討しています。
そのうえで共通して大事にしたいのは、「感覚」だけでなく「数字」にもきちんと裏付けを取りながら意思決定を行うことです。SNS発のブランドらしく、初期衝動や熱量をとらえる感性はこれからも大切にしつつ、その熱量が売上や在庫の消化スピード、プロパー消化率・割引率といった指標にどうつながっているのかを、ブランド横断・チャネル横断で見ていきたいと考えています。データをきちんと見られる体制が整ってきたことで、今後はより一歩踏み込んだ仮説検証や、中長期のブランド育成に関わる判断にも取り組んでいきたいと思っています。
多ブランド・多店舗・多チャネルという構造は、今後さらに複雑になっていくはずです。だからこそ、レジやEC、在庫管理、会員基盤、分析ツールといったデジタルインフラを「単なるシステム」ではなく、「事業を支える土台」として捉え、継続的に磨き込んでいく必要があります。私たち自身も、お客様にきちんと選んでいただけるブランドを増やしていけるよう、これからもブランド運営とデータ活用の両面で成長していきたいと考えています。
9090 東京店 外観
MARITHÉ FRANÇOIS GIRBAUD(マリテフランソワジルボー) 原宿店 外観