種子島の自然と共に過ごす、「島宿HOPE」のくつろぎの宿泊体験
「島宿HOPE」は、2012年秋に種子島の南部で開業しました。
当宿は、種子島の自然に囲まれ、サーフィンやシーカヤックを楽しむ拠点としてもご好評いただいています。すぐ近くにはマングローブ自生林があり、豊かな自然を堪能できる環境です。
また、「種子島ジェラートHOPE」では、地元の農産物を使った季節限定ジェラートを提供し、観光のお客様にも人気です。
近年、コロナ禍での国内旅行需要が高まる中、2022年3月ワーケーション棟をオープンしました。
リモートワーク需要の増加により、旅行やサーフィンを楽しみながら仕事をされるお客様も多く、長期滞在される方も少なくありません。また、サーファーのリピーターも多く、ボードを当宿の倉庫に保管される方もいらっしゃいます。
お客様には「自宅のように」過ごしていただけるような、安心で温かい宿泊体験を提供しています。家族やグループでお越しの方も多く、地元産の新鮮な食材を活かした料理をご用意しています。これからも少しずつ部屋数とお客様を増やし、自然を感じられるくつろぎの場としてご利用いただければと思っています。
増築に伴う予約管理の効率化と多様な決済手段への対応
私は島宿HOPEの女将で株式会社HOPEの総務と経理も担当しています。従業員をサポートしながら、システムの選定や業務フローの改善にも携わっています。
宿泊部屋数が増えるにつれて、予約管理や売上管理といったバックオフィス業務、さらにレストランや受付などの店頭業務も複雑になり、開業以来システム導入を進めてまいりました。
業務が回らなくなるリスクだけでなく、スタッフの余裕が失われて笑顔が減り、お客様へのサービスの質が落ちるのを防ぎたいという思いから、各種システム選定を行い、効率化を進めています。
1.部屋数の増加に伴う予約管理の効率化2012年の開業当初は4部屋のみの宿泊施設でしたが、今では15部屋まで増え、来年には20部屋体制になる予定です。当初は紙で予約管理をしていましたが、2棟目の増築で部屋数が倍以上に増え、
紙での管理に限界を感じました。
そのため、2015年にはホテル管理システムやサイトコントローラ、帳簿管理ソフトを導入しました。当時は
システム連携を考慮せず、必要に応じて1つずつ導入していきました。
2.増える決済手段と売上管理の複雑化支払い手段はお客様の利便性を考慮してなるべく多く対応するため、クレジットカードに加え、PayPayやd払いなどのQRコード決済も導入しています。
しかし、
様々な端末やQRコードがレジ周りに並び、混乱を招くことに。お客様も戸惑い、私たちスタッフも使い分けが難しく、
スタッフへのトレーニングでも教えることが多くなりました。
売上管理も各種の管理画面を一つずつ確認する必要があり、税理士さんへの報告が煩雑化していたため、スムーズに進めるための改善が求められていました。あまりに報告内容が増えていくもので、税理士さんに「〇月分をここまでに報告して欲しいのですが、間に合いますか」と心配されるほどでしたね。
3.コロナ禍にお客様の不安を緩和するために導入したモバイルオーダー2020年のコロナ禍では、お客様がほとんど来られない時期もありました。少しでも安心していただけるよう、ホテル内レストランにお客様と距離を取れるモバイルオーダーを導入しました。
当時は、お互いにセンシティブな状況でコミュニケーションが取りづらく、おもてなしが十分にできないもどかしさもありました。
システム統合によるチェックイン・会計業務の効率化
2022年にチェックイン業務の効率化を検討していたところ、
ホテル管理システム「aipass」を発見しました。
当時はaipassの事前Webチェックイン機能だけを導入し、他のホテル管理システムと併用していました。
その後、
aipassがスマレジと連携できることを知り、
既存のPOSシステムやホテル管理システムでは会計情報を手入力していたことから、これを機にaipassの顧客管理機能とスマレジを導入することにしました。
既存のホテル管理システムには3年の契約期間が残っていましたが、このタイミングを逃すと少人数のスタッフで運営を続けるのが難しいと判断し、残り期間は断念しました。しかし、社長が県の助成金を活用して導入を支援したため、費用負担は軽減されました。
ホテル管理システム「aipass」チェックイン画面
また、レストランで使っていた
モバイルオーダーもスマレジと連携できる「QR Order」に変更しました。
以前のモバイルオーダーはレジと連携しておらず、注文情報を手入力していたのですが、
モバイルオーダーからの注文はスマレジへ自動反映されるため、注文情報の入力の手間が減りました。そして、
スマレジに連携された注文情報がaipassにも自動で反映されるため、
チェックアウト時に部屋代と飲食代をまとめて精算できるようになりました。
さらに、決済端末を
PAYGATEに統一することで、
乱立していた決済端末やQRコードの立て札が1台に集約されました。約7割がキャッシュレス決済で会計いただくので、この整理は非常に重要でした。
スマレジと連携しているため、決済ブランド別の売上も一括で確認でき、各管理画面を確認する手間もなくなり、非常に楽になりました。
島宿HOPE レジ周辺 BEFORE ⇒ AFTER
2人月分のコスト削減、システム費増を上回る効率化
トータルで見ると、システム入れ替え後の費用は高くなっています。しかし、各システムが連携したことで、従来手作業で行っていた業務が大幅に削減され、
人件費にして2人月分のコストを削減できています。
そのため、
価格に見合った効果を実感しています。以前はお客様1組あたり、チェックインの手続きに平均5分、長いと10分ほどかかっていましたが、事前チェックインをしてくださった場合、
館内説明と鍵のお渡しだけで2〜3分程度で完了します。
これにより案内がスムーズになり、時間短縮にもつながっています。空いた時間はレストラン厨房の片付けや仕込み、掃除、他のお客様の対応などにも充てられ、フレキシブルに動けるようになりました。最近では「フロントに常駐しなくても業務が回る」という話も出るほどです。
現場スタッフからも非常に好評で、パソコンにある予約情報をiPadに転送し、内容を確認するだけなので、紙への記入作業もありません。
モバイルオーダーについても、お客様の抵抗は少なく、
ほとんどの方がモバイルオーダーを利用して注文されます。そのため、
スタッフはキッチンで待機しながら、同時にフロント対応も可能になっています。
実際、
平日18時から21時までの夜の時間帯は、フロント、レストランホール、キッチンなど本館の業務を全て1人で回すことができています。従来のシステム構成では、このような1人対応は不可能だったでしょう。
お客様が多い土日祝についても、これまでは
4人で対応していましたが、現在では2名で十分に対応できています。
さらなる効率化と多様な対応力の向上
完全無人対応ではありませんが、フロント業務のさらなる効率化を図るため、現在リモートロックの導入も検討しています。さまざまなシステムを扱うため、スタッフには少しずつITスキルを身につけてもらいたいと考えています。
また、現在は種子島を訪れる海外のお客様は少ないですが、今後、ロケットの打ち上げが増え、日本だけでなく海外から受注した衛星が打ち上げられるようになれば、海外からのお客様も増えると予想しています。
そのため、従業員の英会話コミュニケーションスキルアップにも取り組んでいきたいですね。ただし、すべてのスタッフが英会話を完璧にする必要はなく、AIのサポートがあれば十分に対応できると考えています。
こうした背景からも、ITスキルの習得は今後さらに重要になってくるでしょう。