課題・目的
- 既存レジの機種切替とソフト更新に掛かるコストが高い
- レジを顧客情報収集ツールとしても活用し、店舗・本部における顧客理解を高めたい
- ECサイトと実店舗の会員・ポイント情報を一元化しオムニチャネル強化を図りたい
導入効果
- 従来のレジと比較して、運用コストを28%削減
- 店舗データの可視化でオムニチャネルの推進に欠かせない店舗理解・部門連携が向上
- ECサイトとの連携で情報を一元化、店舗とECの相互送客を実現し新たな購買機会を創出
100年以上にわたってひたむきに“本物の履き心地”を追い求める
マドラス株式会社は、1921年に創業した103年の歴史を持つ革靴メーカーです。
創業以来、”本物の履き心地”を追求した靴づくりを手掛けており、伝統を大切にする一方で、時代の流行や最新技術も積極的に取り入れています。
2023年に特許を取得した足裏から姿勢を整え、快適な歩行をサポートする『metaインソール』が、年代を問わず高まる健康志向にマッチし好調に推移しています。このように弊社は、形式に捉われず付加価値の高い商品やサービスを提供することで、ブランド価値を高めています。
革新への挑戦は、商品開発だけに留まりません。お客様により便利に買い物を楽しんでいただけるよう、顧客体験の向上と新たな接点創出にも注力しています。
具体的には、ECサイトのリニューアルやシステムの導入により、会員、ポイント、在庫などの情報を一元化し、店舗とECの連携を強化することで、購買行動を最適化するオムニチャネルを推進しています。
運用コストを抑えられ、オムニチャネル強化を図れる拡張性の高いレジ
弊社では数年前に、EC事業とオムニチャネルを強化するためにECサイトのリニューアルを実施しました。
その過程で、全社のシステム構成図を確認したところ、当時使用していた据え置き型レジの課題が浮き彫りになってきました。
店舗スタッフからは、既存レジの処理速度が遅いという意見が寄せられ、情報システム部門からは、現行機種の生産終了に伴う新機種購入とソフトウェア更新に多額のコストが掛かるという報告がありました。加えて、2021年10月から完全に電子化される免税販売手続きへの対応も必要でした。
そこで、コスト削減とオムニチャネルの強化を実現できる、新しいレジシステムへの移行を検討することになりました。
複数のレジシステムを検討した結果、据え置き型レジに比べて運用コストが低く、タブレット型POSレジの中でも導入コストを抑えられるのがスマレジでした。
さらに、スマレジが外部システムとの連携に優れている点も、オムニチャネル強化を目指す弊社にとって魅力的でした。構築を進めていたECサイトとAPIで連携できたため、オムニチャネル実現に不可欠な店舗とECの会員・ポイント情報を一元管理することができたのです。
また、小売ビジネスの最適化には、スタッフの業務効率化とオペレーション強化が欠かせません。
スマレジは、売上の自動集計や商品分析など、効率化と生産性向上に繋がる機能が充実しています。これらの機能の活用で、スタッフをより付加価値の高い業務に配置することが可能になり、業務改善が期待できました。こうした将来的なメリットもスマレジ導入の後押しとなりました。
オムニチャネル強化に欠かせない部門連携を強化、
店舗スタッフの育成にも寄与
【本社での場合】レジ運用コスト28%削減を達成!本部での店舗情報理解も加速
当初の目標であったレジ運用コストの削減については、従来のレジと比較して28%削減することができました。さらに、免税の電子化対応においても、iPadのカメラを活用することで、専用機器の導入が不要となり、追加コストを抑制することにも成功しました。
機能面でいうと、スマレジはクラウドサービスであるため、本部側でも場所や端末を選ばずに店舗情報をリアルタイムで把握できるようになった点にメリットを感じています。
弊社では、オムニチャネルの強化にあたり、店舗での販売経験を持つ店長をEC部門に配置するなど、両チャネルを理解する人材を増やし、店舗とEC部門の連携を深めています。そうした取り組みの中で、本部側がスマレジの管理画面から店舗の売れ筋商品や顧客属性を容易に把握できるようになったことは、有益であると感じています。
【店舗での場合】実績の可視化で、スタッフの数値意識やモチベーションが向上スマレジの導入で、従来のレジにはなかった店舗運営に特化した機能が充実し、店舗の数値意識やスタッフの教育・育成にも良い影響を与えています。
特に店舗で重宝されているのは、「
トレーニングモード」と「
予算管理」機能です。
「トレーニングモード」は、会計履歴を残さずにレジ操作を学べるため、新人スタッフへの実践的な教育を安心して行えるようになりました。一方、「予算管理」機能は、各店舗での予実管理を可能にし、店舗責任者が現在の業績状況をリアルタイムで把握できるようになりました。
さらに、スマレジでは
スタッフ別の売上や客単価が分かるため、スタッフが自分の貢献度を具体的な数値で理解できるようになり、モチベーション向上にも繋がっています。加えて、数値に基づいた指導やフィードバックが行いやすくなり、人材育成の面でも役立っています。
店舗とECの相互送客を実現。
ECサイト経由の試着予約で新たな来店機会を創出
弊社のオムニチャネル戦略では、「お客様の情報深度を高め、一元管理を行うこと」「店舗とECサイトの相互送客を促進すること」を重視し施策を進めています。
一元管理の施策としては、スマレジとECサイトを連携させることで、店舗とECサイトで共通の会員・ポイント制度を利用できるようにしています。具体的には、システム間で以下の仕組みを構築しています。
●スマレジ会計処理時にECサイトの会員情報を参照し、保有ポイントを利用可能に
●スマレジ売上データをECサイトに取り込み、ポイント付与を実施
リピート購入しやすいよう、店舗購入履歴もマイページに表示
この施策により、チャネルを問わず購買を楽しんでいただける環境を実現できました。
マドラス株式会社における「ECサイト」連携の相関図
店舗とEC間で相互送客を促す施策については、店舗とECサイトの在庫を連携させることで、ECサイト上で店舗在庫確認と店舗試着予約ができるサービスを提供しています。
商品力に自信を持っていますので、商品を検討されている方を店舗に誘導し、実際の履き心地や質の良さを体感して貰える機会を生み出せたのは、非常に良かったと感じてます。
実際にこの施策は大きな効果をもたらしており、ECサイトから試着予約をされたお客様の約50%が購入に至っています。新たな購買機会を生み出せたことは勿論、ECと店舗の両者が関与して生み出せた数字なので、社内におけるオムニチャネルの重要性理解や意欲向上に繋がったと思います。
経営と現場を理解し、俯瞰的な視点から全社DXを推進する
オムニチャネルの推進は、単にツールを導入するだけでは叶いません。
店舗、EC、在庫、物流などの連携をシステム相関図で俯瞰的に見渡し、経営と現場の課題は何なのか、社内の仕組みとどう結び付ければ解決できるのかを考え、形にしなくてはいけません。
また、オムニチャネルは一度構築したら終わりではなく、顧客のニーズに合わせて新たなシステム導入やアップデートを続けていく必要があります。
弊社においても、次の施策として倉庫管理システムの改善に着手しています。将来的には、ECサイトで注文した商品の店頭受け取りや、店舗で購入した商品の自宅配送サービスを実現し、さらなる購買体験の向上を図りたいと考えています。
こうしたオムニチャネルの継続的なアップデートを考えると、店舗のレジを外部システムとの連携に強いスマレジに切り替えて良かったと感じています。まだまだ活かせる機能があると思いますので、オムニチャネル、社内業務の効率化など幅広い視点から活用を考えていきたいですね。