QRコード決済で売上アップ
飲食店や小売店の導入効果とは?
キャッシュレス決済の中でも、QRコード決済は急速に普及している決済方法です。
人気の理由は、支払い手続きがスムーズになるだけでなく、売上アップや顧客満足度の向上につながるためです。
実際に、QRコード決済を導入して成功している飲食店や小売店も多く見受けられます。
ここでは、QRコード決済の導入効果やメリット・デメリット、導入成功のノウハウ、導入事例などをご紹介します。
QRコード決済の仕組み
QRコード決済とは、QRコード(2次元バーコード)を利用した決済方法です。利用者がスマートフォンでQRコードを表示するか、店頭のQRコードを読み取ると、QRコード決済アプリに紐づいた銀行口座やクレジットカードから支払いができます。そのため、現金を使わず、スマートフォンだけで決済が完結します。
また、支払い方法は前払い、即時払い、後払いの3種類があります。前払いは、あらかじめ銀行口座やATMから決済アプリにお金をチャージしておく方法です。チャージした以上の金額は使えないため、使い過ぎの防止に有効です。
一方、即時払いはデビットカードを、後払いはクレジットカードを決済アプリに紐づけておく方法です。QRコードを利用していますが、仕組みとしてはデビットカード・クレジットカードを使った決済と同じです。チャージは手間がかかると感じる方には即時払い、後払いをおすすめします。
QRコード決済の導入効果
QRコード決済を導入すると、売上アップや支払い手続きの簡素化・効率化が期待できます。
さらに、キャッシュレス化は顧客からの要望も多いため、導入による顧客増加も見込めるでしょう。
ここでは、QRコード決済の導入効果に関してご紹介します。
売上アップ
QRコード決済が普及した背景には、NFC搭載のスマホが普及して消費者のキャッシュレス志向が高まったことが挙げられます。また、QRコード決済は顧客にとってポイント獲得、迅速な支払いが可能といったメリットが大きいというのも普及理由の一つでしょう。
日本クレジットカード協会が2019年に行った「キャッシュレス社会の実現に向けた調査報告書」によれば、キャッシュレス無関⼼層や現⾦岩盤層は全体の8%しか占めていません。さらに、スーパーや飲食店を利用する際はキャッシュレス決済に⾮対応の店舗を避ける傾向も見られるため、QRコード決済に未対応のままだとビジネスチャンスの喪失につながりかねません。
一方、QRコード決済を導入すれば顧客満足度も高まり、集客力・売上が向上する可能性があります。また、支払いにかかる時間が短縮されることでレジ業務も効率化され、店舗運営がスマートになりやすくなります。
支払い手続きを簡単に
QRコード決済は、ユーザー側、店舗側の双方にとって支払い手続きが簡潔になる方法です。
例えば、QRコード決済の多くが採用している前払い式では、ユーザー側は事前にお金をチャージしておき、支払い時にQRコードを提示するだけで決済が完了します。そのため、財布を出して現金を支払う手間がなくなります。
一方、店舗側はQRコードの読み取りを行うだけで、お金を受け取ったり釣り銭を手渡したりする必要がありません。そのため、双方にとって支払いにかける時間が短くなります。
顧客満足度の向上
QRコード決済は顧客満足度の高い決済方法でもあります。
デロイトトーマツが2017年に実施した「QRコード決済・モバイル決済の利用実態と今後の利用意向に関する調査」によれば、10~30代のQRコード決済利用経験者のうち9割以上が「満足」と回答しました。
顧客満足度の高まる原因としては、財布を持ち歩かなくて良く、会計がスムーズかつスピーディーに済むという利便性や、ポイント還元やキャンペーンでお得感を得られることが挙げられるでしょう。さらに新型コロナウイルスの影響で、現金の受け渡しを避けたいというニーズを満たす点でも評価されていると考えられます。
飲食店や小売店における
QRコード決済の導入とは?
QRコード決済は顧客側のニーズが高い決済方法ですが、実際に飲食店や小売店でQRコード決済を導入する際は、
メリット・デメリット双方を考慮する必要があります。
ここでは、QRコード決済導入のメリットとデメリットに加え、導入手順や必要な機器の準備についてご紹介します。
導入のメリットとデメリット
メリット
QRコード決済導入の店舗側のメリットは、まず導入コスト・決済手数料が比較的安いという点が挙げられます。クレジットカードや電子マネー決済ではカードリーダー端末を用意する必要がありますが、QRコード決済の場合はスマホやタブレットだけで決済可能です。そのため、小規模の店舗でもすぐ導入できるというメリットがあります。サービスによっては店舗側の初期費用を安くするキャンペーンを行っている企業もあるため、導入の場合はキャンペーンの利用も検討するのがおすすめです。
さらに、現金や売上管理がしやすくなるという面もあります。QRコード決済では小銭などの用意が必要なく、またレジの打ち間違いやお釣りを多く渡してしまったというミスも起きません。なおかつ、販売された商品の情報はQRコードを通じて店舗側アプリに配信されるので、売上管理にかける時間も減ります。
加えて、中国でよく利用されているWeChat Pay・Alipayといった決済サービスに対応しておくと、海外からの訪日客のインバウンド集客も上がるでしょう。海外では日本よりもキャッシュレス化が進んでいる傾向にあるため、自国のQRコード決済サービスを利用できる店舗は顧客からの評価を得やすいかもしれません。
デメリット
一方、QRコード決済導入にはデメリットもあります。例えば、日本では普及が進んではいるもののまだまだQRコード決済の認知度は高くはなく、特に高齢者の利用者は少ないです。
また、ネットワーク障害が起きた場合はQRコード決済サービスを利用できず、解消されるまで決済できないという状況も起こりえます。さらに、決済ごとに2~4%程度の決済手数料がかかるため、売上に影響が出る可能性もあります。
加えて、QRコード決済サービスへの登録などの手続きなども必要です。店舗スタッフに対して運用の研修を行うといった対応も必要になるでしょう。
その他、店舗側のQRコードをすり替える詐欺事件の発生リスクもあります。中国では、QRコードを印刷した紙がすり替えられ、第三者に不正送金されるという事例が多発しました。ただ、こうした事例は店舗側がユーザー側のQRコードを読み取る方式にすれば未然に防止することが可能なため、導入の際はそうしたセキュリティ面も意識しましょう。
導入する手順
STEP 1
導入するQRコード決済を選択
まずはどのQRコード決済サービスを利用するか決めましょう。
選ぶ際の基準としては、店舗の顧客層、または狙いたい客層に合わせて選ぶとよいでしょう。もし幅広い層をカバーしたい場合は国内大手6社(LINE Pay、PayPay、楽天ペイ、d払い、メルペイ、au PAY)の検討をおすすめします。また、今後インバウンド集客を狙いたいのであれば海外QRコード会社が提供するサービス(WeChat、Alipay、銀聯QR)も視野に入れましょう。
STEP 2
加盟店申請と審査
導入するサービスを選んだら、インターネット通信が可能な環境や加盟店の申請に必要な書類を準備しましょう。加盟店申請は、QRコード決済会社もしくはQRコード決済サービスを扱っている決済代行会社に行います。
審査では、業種・業態や取り扱っている商材が対象となります。
STEP 3
機器の設置・スタッフトレーニング・告知
審査を通過したらQRコード決済の利用が可能になります。スマホなど、QRコードスキャンに必要な機器を店舗に設置し、店舗スタッフへの使い方のトレーニングも実施しましょう。
また、QRコード決済が可能であることを顧客にアピールするため、店頭にポップやポスターを設置しましょう。利用しているQRコード決済サービスでの大規模キャンペーンが開催されていれば、そのポスターなども設置すると顧客への訴求につながります。
機器の準備
QRコード決済に必要な機器は、QRコードの読み取り方式で異なります。読み取り方式はMPM方式(店舗提示型/ユーザースキャン方式)とCPM方式(顧客提示型/ストアスキャン方式)の2通りがあるため、それぞれに関してご紹介します。
MPM方式(店舗提示型/ユーザースキャン方式)は、店舗側が用意したQRコードをユーザー側がスマートフォンでスキャンする方式です。そのため、店舗側であらかじめQRコードが印刷されたシールやスタンド、ステッカーなどの貼付・掲示をしておく必要があります。なお、この方式を採用した場合は店舗スタッフが最後にユーザー側の決済完了画面をきちんと確認するようにしましょう。
一方、CPM方式(顧客提示型/ストアスキャン方式)は、ユーザー側がスマートフォンに表示させたQRコードを店舗側でスキャンする方式です。店舗側でQRコードを読み取る決済端末が必要になるため、QRコード決済専用機器を利用するか、タブレットやスマートフォンで専用アプリを使用しましょう。
どちらの方式においても、安定したインターネット環境が必須となるので、通信環境は導入前にしっかり整えておくことをおすすめします。
導入成功のためのノウハウとは?
QRコード決済の導入に失敗すると、顧客離れやスタッフの負担増、コスト増大といったマイナス面ばかりが大きくなってしまいます。
ここでは、導入を成功させるためのノウハウをお伝えします。
スタッフのトレーニング
QRコード決済をスムーズに行えるかどうかは、スタッフの手際の良さや案内の仕方にかかってきます。QRコード導入の際は、顧客にストレスを与えないように、運用方法をスタッフに周知・オペレーション構築をする必要があります。不慣れなスタッフがいないように、きちんとトレーニングを行いましょう。
さらに、QRコード決済には偽造や詐欺などの犯罪行為も起こりうるため、不正利用への対策および研修も必要です。例えば、他人のスマートフォン画面を盗撮し、偽造QRコードで支払いを行う手口や、店舗側のQRコードをすり替えて第三者の口座へ不正送金させる手口が多発しています。こうしたトラブルへの対策や、トラブル発生時の問い合わせ先もスタッフ間でしっかり共有しましょう。
顧客への周知・啓発
QRコード決済をせっかく導入しても、顧客に利用してもらわなければ意味がありません。ポスターやポップを店頭の目立つ場所に掲示して、導入しているQRコード決済サービスをアピールしましょう。特に入口や窓にステッカーなどを貼っておくと、外からでもQRコード決済が可能な店舗だということが分かります。「今、手持ちの現金がないけどQRコード決済はできる」という顧客の入店も期待できるでしょう。また、公式サイトやSNS、メルマガなどを利用して周知するのもおすすめです。SNSのプロフィールにQRコード決済利用可能となった旨を追加すれば、フォロワーへの宣伝効果があります。併せてQRコード決済のキャンペーン等も紹介すれば、今までそのサービスを利用していなかったフォロワーも使い始めるかもしれません。
さらに、飲食店の紹介サービスやGoogleビジネスプロフィールに登録しているなら、QRコード決済が利用できるという情報を追加しておくと不特定多数の顧客にアピールできるでしょう。
キャンペーンの活用
各QRコード決済サービスでは、随時ポイント還元率を上げるといったキャンペーンを実施しています。店舗内やSNSでQRコード決済のキャンペーン情報を紹介したり、便乗した施策を展開したりすると集客効果が上がり、売上アップにつながるでしょう。
さらに、新型コロナウイルス環境での経済支援策として、地方自治体がQRコード決済事業者と連携してキャンペーンを行うケースもあります。その場合、店舗側からキャンペーンに参加する申請は不要なことが多く、還元されるポイントや事務処理にかかる費用は自治体が負担します。店舗側にとってはコストをかけずに新規顧客獲得や売上アップを狙うチャンスなので、積極的にキャンペーンをアピールしていきましょう。
QRコード決済の導入事例
QRコード決済導入を検討するにあたって、実際にQRコード決済を導入して成功している事例を知りたいという方も多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは飲食店と小売店の事例をそれぞれご紹介します。
飲食店の事例
チェーン系カフェやファミリーレストランでは、QRコード決済を利用し、店員を介さずに決済が完了する完全キャッシュレス化を導入する事例が増えています。現金を完全に扱わなくなったため、スタッフはレジ締めの時間が無くなり、店舗オペレーションが効率化したという声が挙がっています。
また、個人経営や屋台の店舗でもQRコード決済導入は進んでいます。特に、ワンオペで注文・調理・会計を行わなければいけない屋台では、QRコード決済によって会計で手を止める必要がなくなるというメリットが大きいです。また、QRコード決済を導入したことで外国人観光客の利用が増え、キャッシュレス決済比率が全体の3分の1にまで上がったというケースもあります。
その他、ラーメン店などの外食チェーンを展開する企業では、QRコード決済サービスの顧客データを分析し、年齢や性別ごとの人気メニューを判別してマーケティングに役立てています。
小売店の事例
食品スーパーでも、QRコード決済を導入し、完全キャッシュレス化するケースが見られます。さらに、レジをすべてセルフレジにすることで、スタッフがレジ作業に充てる時間をゼロにし、商品陳列や接客に集中することを可能にしました。また、高齢の顧客にとっても、小銭をいちいち出さずに済むというメリットから高い評価を得ています。<
さらに、買い物かごにバーコードを読み取る機能とタブレットを付けたスマートカートを導入したスーパーもあります。スマートカートは、顧客がかごに入れた商品をそのままバーコードスキャンしてレジ登録する機能のほか、タブレットに「おすすめ商品」や「特別クーポン」を表示させる機能を持ちます。スマートカートで決済できる手軽さやレコメンド機能が顧客に評価され、通常カートに比べて購入点数が1~2点増えるという効果を上げています。
また、アパレルでは、QRコード決済によって販売情報を管理し、在庫管理をリアルタイムで把握できるようになったため、在庫確認の手間を削減することに成功した事例があります。また、外国人観光客の免税対応でも、従来は手書きで行っていた計算作業を、パスポートをスキャンして完了させることができるため、業務効率化が進んだという声もあります。
QRコード決済導入後は効果測定が大切?
QRコード決済を導入した後、その効果が出ているかを測定することが重要です。
なぜならば、効果測定によって導入後の課題や改善点がわかり、経営の改善につなげられるためです。
ここでは、導入効果のKPI設定や測定方法についてご紹介します。
KPIの設定
まず、QRコード決済の導入効果を客観的に把握するための指標となるKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。具体的には、QRコード決済が売上全体に占める比率、平均客単価、来店数、レジ業務の時間などが挙げられます。QRコード決済の比率に関しては、全国や都道府県単位の水準を参考に設定するのもおすすめです。
具体的なKPIを設定することで、QRコード決済運用の方向性が明確になり、成果を出しやすくなります。また、実際の効果がKPIを達成したかどうかで、導入の成果を客観的に把握することも可能です。
測定方法とツール
QRコード決済による売上の変化やリピート客数、支払い処理の効率化などを測定するには、QRコード決済サービスのシステムや店舗で導入しているPOSシステム、会計ソフトウェアを活用するのが一般的です。
また、顧客満足度の向上を調査するならアンケートが有効です。SNSなどの口コミやレビューもチェックして調査に活用しましょう。
もし、QRコード決済以外の決済方法もすべて測定したい、複数店舗のデータを統合したいといったニーズがあれば、高機能なPOSレジが必要となります。この場合、POSレジとの連携機能が搭載されたQRコード決済端末を利用するとデータの共有が手軽にできて便利です。
QRコード決済は
定着しつつある新しい支払い方法!
QRコード決済は急速に普及し、導入する飲食店や小売店が増加しています。国や自治体のキャッシュレス推進の動きもあり、消費者のQRコード決済のニーズも高まっているため、ご自身の店舗でもQRコード決済を導入したいという方も多いでしょう。QRコード決済で業務効率化や売上アップを狙う場合は、実際に導入して運用に成功している店舗の事例を参考にしつつ、成功ノウハウや効果測定の方法を理解しておくことが重要です。