電子マネー決済とは?
仕組み・導入の
メリット・選び方
電子マネー決済は現金を持ち歩く必要がないため、利用者にとって利便性が高く注目されています。
利用者のニーズに応えるために、実店舗に電子マネー決済の導入を検討している事業者は増えているのではないでしょうか。
電子マネーを導入するにあたり、仕組みやどのようなメリットがあるのか気になるところです。
そこで、このページでは電子マネー決済の仕組みやメリット、選び方までを紹介します。
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電子マネー決済とは?
電子マネー決済とは、情報通信技術を用いた決済サービスのことです。
現金の代わりにICカードやスマートフォンを決済端末にかざすことで決済が完了します。
事前にお金をチャージしておいたり、スマートフォンのアプリやICカードとクレジットカードの情報を紐づけておいたりすることで、支払いが可能です。
2021年の時点において、主要各国ではキャッシュレス決済の普及率が40~60%となっている中で、日本での普及率は32.5%に留まっています。
世界的なキャッシュレス決済の高まりに影響を受けて、日本国内でもキャッシュレス決済比率を高めようとする動きがあります。
2019年の閣議決定で、2025年までにキャッシュレス決済比率を40%程度にする目標が掲げられました。
現金決済などの場合と比較して決済時の顧客と従業員の接触機会を減らせることからも、キャッシュレス決済は注目されています。
電子マネー決済の仕組み
利用者が実店舗で買い物する場合を想定して電子マネー決済の流れを解説しましょう。利用者はあらかじめアプリやICカードを用意して、クレジットカードとの紐づけあるいは電子マネーを購入してチャージを行っておくことが必要です。
実店舗で買い物をする際に電子マネー決済を選択し、チャージした電子マネーまたは紐づけたクレジットカード決済で代金を支払います。事業者側で見た場合、電子マネー決済をすると即座に入金されるわけではありません。
利用者が電子マネー決済を行うと、決済データは電子マネー決済機関に届きます。決済代行業者が間に介入している場合は、決済データが事業者から決済代行業者を経由して電子マネー決済機関に届きます。決済処理が行われた後、後日手数料を差し引いた金額が事業者に振り込まれる流れです。
代表的な電子マネー決済の種類
電子マネー決済は発行会社や支払い方式によって特徴はさまざまです。ここからは、代表的な電子マネーの種類と特徴を紹介します。
交通系電子マネー【Suica・PASMOなど】
交通系電子マネーは、交通機関が発行するICカードです。SuicaやPASMOをはじめとして、地域ごとにさまざまな交通系電子マネーが発行されています。事前に現金をチャージした限度額の範囲内で使うプリペイド型が多く、少額決済に向いていることが特徴です。
電車やバスなどの運賃の支払いに利用できるほか、自動販売機や駅ナカにある売店などの買い物にも利用できます。スマートフォンと連動するアプリなら、カードを持っていなくてもスマートフォンをかざすだけで決済が可能です。
流通系電子マネー【WAON・nanacoなど】
流通系電子マネーは、スーパーやコンビニなどの流通系企業が店舗や通販などでの利用を前提として発行する電子マネーです。代表的なものにWAONやnanaco、楽天Edyなどがあります。
キャッシュレスで買い物ができることに加え、グループや系列店で買い物をすると金額に応じてポイントが付与されたり、特定の日に買い物をするとボーナスポイントが加算されるキャンペーンを行っていたりと、お得な特典を受けられることから人気です。貯まったポイントは買い物の代金支払いに充当できます。
クレジットカード系電子マネー【iD・QUICPayなど】
クレジットカード系電子マネーは、クレジットカードの情報を登録してあるスマートフォンや専用のカードを、レジの端末にかざすことで決済できる電子マネーです。代表的なものにiDやQUICPayがあります。クレジットカードと紐づけして使うため、事前にチャージしておく必要がありません。
クレジットカード系電子マネーで決済されると、電子マネーと紐づけられたクレジットカードで決済が行われ、後日クレジットカード会社から代金を請求される仕組みです。クレジットカードは決済時に暗証番号の入力や署名が必要ですが、クレジットカード系電子マネーは暗証番号の入力や署名の手間がなく、よりスマートに決済ができます。
QRコード系電子マネー【PayPay・d払いなど】
QRコード決済は、スマートフォンを活用した決済方法で、スマートフォンとクレジットカードを紐づけることで決済が可能です。各社が提供する電子マネー専用のスマートフォンアプリのQRコードを店舗に提示したり、店舗の端末で読み込んでもらったりすることにより決済が完了します。
QRコード決済の代表的なものはPayPayやd払い、楽天ペイなどです。専用アプリで利用履歴やポイント残高などを確認できるので、お金の管理をしやすいメリットがあります。PayPayは個人間送金の機能もあるので、グループで一括支払いして後に割り勘したい場合にも便利です。
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電子マネー決済の支払い方法
電子マネー決済の支払い方法は、大きく分けて「先払い」「後払い」「即時払い」の3種類です。それぞれの特徴について解説します。
先払い(プリペイド)型
一般的なPOSシステムの場合でいえば、初期費用だけで50〜100万円ほどかかります。
プリペイド型とは、あらかじめチャージをした金額を限度額として、使用する度に決済金額が引き落とされるタイプです。
プリペイド型の電子マネーの代表的なものにはSuicaやPASMOがあります。
あらかじめチャージした金額を使い切ると終了するタイプと繰り返しチャージできるタイプの2種類です。
入金した金額までしか使えないので、利用者側は使いすぎを防げるメリットがあります。
事業者側は、会計金額の回収や引き落としのトラブルに遭うリスクを抑えられる点がメリットです。
銀行引き落としやクレジットカード決済の場合は、引き落とし口座に残高がなければ引き落としできないなどのトラブルが発生することがあります。
プリペイド型であれば、先にチャージした金額までしか利用できないため、支払いに関するトラブルは起こりにくいです。
後払い(ポストペイ)型
ポストペイ型とは、クレジットカードと電子マネーを連携させた支払い方法です。
ポストペイ型の電子マネーの代表的なものにはiDやQUICPayがあります。
事前にチャージをする必要はなく、使った金額を後から払うので、利用者側は残高がないため支払いができないという事態になりません。
ただし、いくら使ったかを把握していないと使いすぎてしまう可能性があるため注意が必要です。
支払いは、銀行口座やクレジットカードのほか、携帯電話料金との合算により行います。
残高不足で支払いができない事態が起きたときは、レジ対応に時間がかかってしまいがちですが、ポストペイ型ならそうした心配もなくスムーズにレジ業務を進められることが事業者側にとってメリットです。
即時払い(デビット)型
デビット型とは、決済すると同時に利用者の銀行口座から金額が自動的に引き落とされる方法です。
銀行口座の残高の範囲内でしか利用できないため、クレジットカードのように使いすぎる心配がありません。
銀行から現金を引き出した場合は何のために使用したかが分かりませんが、デビット型ならいつ、何に使ったのかが書かれた利用明細をWEB画面で確認できるため、家計管理がしやすくなります。
事業者が電子マネー決済を導入する3つのメリット
事業者が電子マネー決済を導入することにより、さまざまなメリットがあります。
ここからは、具体的なメリットをいくつか紹介していきましょう。
メリット1:レジ業務の効率化
電子マネー、クレジットカード決済、現金決済を行うのにどれくらいの時間がかかるのか実証実験をした結果があります。
それによると、最も早いのは電子マネー決済で6~10秒ほど、次がクレジットカード決済で9~19秒ほど、最も時間がかかるのが現金決済で15~40秒ほどでした。
クレジットカード決済の場合は、暗証番号の入力や署名などに時間が取られがちです。
現金決済の場合は、利用者が財布の中からお金を出したり数えたりする時間がかかり、事業者側も釣銭を計算して渡すのに時間がかかります。
電子マネー決済は通信速度が速く、暗証番号の入力や署名も不要なため、スピーディーに決済を終えることが可能です。
その結果、レジ業務の効率化が図れます。会計がスムーズに行えることでレジの混雑緩和にもつながります。
事業者と利用者の接触機会も少なくなるので、感染対策にもなるでしょう。
メリット2:集客の促進
クレジットカードは利用にあたって事前審査が必要で、年齢制限が設けられています。
そのため、学生などはクレジットカードを所持していないケースも少なくありません。決済方法がクレジットカードと現金のみの場合、利用者が離れてしまう可能性があります。
一方、交通系や流通系の電子マネーであれば、事前審査もなく年齢制限も設けられていないので、誰でも持つことが可能です。
決済方法に交通系や流通系の電子マネーを加えることで、クレジットカードを持っていない人や若年層も含めて幅広い利用者を集客できるため、売上の拡大が見込めます。
交通系の電子マネーを決済手段として加えることで、通勤・通学の帰りに買い物や食事をしたい利用者の集客にもつながるでしょう。
メリット3:計算ミスの削減
現金での支払いが多い場合、事業者側には釣銭の計算ミスなどが起こりがちです。
しかし、電子マネー決済なら現金の受け渡しがないので、ミスが起こる確率は低くなります。
レジに売上明細が記録されているため売上管理も行いやすく、レジ締め業務にかけていた時間の短縮にもつながるでしょう。現金決済を減らせれば、事業者側の負担は少なくなります。
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電子マネー決済端末の種類
店舗に電子マネー決済を導入するためには、情報を読み取る「電子マネー決済端末」を設置しなければなりません。
ここからは、電子マネー決済端末の種類や特徴を解説します。
据え置きタイプ
据え置きタイプは、全国展開の店舗などで最もよく見かける電子マネー決済端末です。
据え置きタイプは基本的にレジに設置して動かすことはなく、利用者がカードやスマートフォンをかざすことで決済を行います。
据え置きタイプはレシートのプリンターが内蔵されていることも特徴です。
処理スピードが速く操作性が良いメリットがあります。電子マネー決済はインターネットに接続しなければならず、据え置き型の場合はLANケーブルでつないで使うため、設置場所が限られる点がデメリットです。
また、導入費用が数百万円単位と高額になりやすい傾向があります。
モバイルタイプ
モバイルタイプは端末がコンパクトなので手に持って操作できます。
レシートプリンターが内蔵されたタイプとレシートプリンターを別に用意しなければならないタイプの2種類です。Wi-Fiやモバイル通信データでインターネットと接続して使用します。
持ち運びが可能なので、野外でのイベントなどにも利用できるなど利便性が高いです。
端末の導入費用も据え置き型と比較して安く、端末自体の費用は数千~2万円程度、初期費用は数万~数十万円程度で収まります。
ただし、Wi-Fiの環境が整っていないと利用できないことや、気軽に持ち運べるため盗難や紛失の恐れがある点がデメリットです。
マルチタイプ
マルチタイプは電子マネー決済だけでなく、クレジットカード決済やQRコード決済にも幅広く対応できる端末です。
マルチタイプは据え置きタイプとモバイルタイプの2種類あります。
決済方法に応じて複数の端末を用意する必要がなく、一種類の端末を用意すれば良いので、月額料金や手数料を一元化できる点がメリットです。
結果として月額料金や手数料などの費用の削減にもつながります。
複数の決済方法を網羅していることで、幅広いニーズに応えることができ、集客効果を高められることも魅力です。
電子マネー決済を導入する方法とおおまかな流れ
電子マネー決済を導入するには、代理店もしくは決済代行業者と契約を締結し、決済端末を導入、モバイル回線やWi-Fiなどの通信環境を整えるのが大まかな流れになります。契約は、代理店と直接契約する方法と決済代行業者と契約する方法の2種類です。
代理店との直接契約は、電子マネーごとに設けられた専用窓口に電話またはWEBサイトからの申し込みを行います。導入したい電子マネーが1種類の場合に向いている方法です。複数の電子マネーやキャッシュレス決済を導入したい場合は、それぞれの電子マネー決済機関とやりとりすると手続きが複雑になり、毎月の入金サイクルもそれぞれ異なるので売上管理が大変になります。
決済代行会社と契約すれば、さまざまな電子マネーやキャッシュレス決済を一元化して導入できます。決済代行会社と契約しない場合で複数の電子マネーを導入したい場合は、各社と個別で契約を結ばなければなりません。
電子マネー決済の選び方は?導入時のチェックポイント
電子マネー決済の選び方や導入時にチェックしておきたいポイントについて紹介します。
店舗に合う種類の電子マネー決済端末か
電子マネー決済端末は、据え置きタイプ、モバイルタイプ、マルチタイプの3種類あります。
それぞれサイズや特徴が異なるので、どのようなシーンで利用したいのか、店舗と相性が良いのはどのタイプなのかを検討しましょう。
電子マネー決済端末にはプリンターが内蔵されているものと内蔵されていないものがあります。
プリンターが内蔵されていないタイプは、別でプリンターを用意しなければなりません。
サイズによってはレジに設置することが難しい場合もあるため、どこに設置するかを考えておきましょう。
決済方法の幅が広いか
端末によって対応している決済方法は異なります。
利用者のニーズを考慮しながら、どのような端末を導入すれば集客力アップを狙えるかを考えていくことが必要です。
主要ブランドに対応しているマルチタイプの端末は、電子マネーだけに限らずクレジットカード、QRコード決済など幅広い手段で決済ができます。
費用はいくらかかるか
電子マネー決済端末は、端末本体を導入するための初期費用の他に月額の利用料がかかることがあります。
できるだけかかる費用を抑えたもののほうが導入しやすいです。
端末によってかかる費用は異なるので、導入前にシミュレーションしておきましょう。
さまざまな決済方法を網羅しているほうが集客力は高まりますが、かかる費用も高くなりがちです。
店舗の経営状況や決済方法を増やすことによる業績への影響も考慮し、どの端末を選ぶと良いのかを検討しましょう。
費用体系は会社によって異なります。
できるだけ明確でわかりやすい費用体系のものを選んでおくと安心です。
決済から入金までのフローはスムーズか
決済サービスごとに決済から入金までにどれくらいの期間がかかるのか、1カ月に何回入金されるのかは異なります。
最短で翌日に入金されるものもあれば、1カ月に1度しか入金されないもの、1カ月に数回入金のタイミングがあるものなどさまざまです。
また、中には好きなタイミングで入金を依頼できるものもあります。
自動で入金されるのか、入金依頼が必要なのかも確認しておきましょう。
自社にとって売上管理が行いやすい入金フローであることも大切なポイントです。
入金の回数が増えれば振込手数料の負担も大きくなります。
振込手数料がどれくらいかかるのかも確認しておきましょう。
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電子マネー決済を導入して店舗の利便性を高めよう
電子マネー決済は現金決済やクレジットカード決済と比べてスムーズに支払いが完了するため、利用者と事業者の双方にメリットがあります。電子マネー決済を店舗に導入することで集客効果を高めたり、レジ業務の効率化を図れたりすることがメリットです。幅広い決済方法に対応することで顧客満足度の向上も期待できます。電子マネー決済を導入して、店舗の利便性を高めてはいかがでしょうか。
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