スマホがレジになる?
モバイルPOSレジと
スマホレジの特徴について
解説
更新日:2024/10/02
店舗の経営者の間で、スマホやタブレット端末にインストールできるレジアプリが注目を集めていることをご存じでしょうか。
例えば、「モバイルPOSレジ」は店舗側で導入がしやすくコストもかからないため人気です。
一方、顧客が自身のスマホをレジの代わりにする「スマホレジ」の普及も広がってきています。
今回は、スマホを活用したレジアプリとして代表的な2つのアプリのメリット・デメリットを詳しく解説します。
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スマホにインストールできるモバイルPOSレジとは?
「モバイルPOSレジ」とは、店舗側が自身のモバイル端末にアプリをインストールすることで、レジの代わりに利用できるものです。ただのレジアプリではなく、POSシステムに対応していることが大きな特徴といえます。
POSシステムを導入すれば、「いつどこの店舗でどのような商品が売れたのか」について一元的に管理できるようになります。さらに、POSシステムではシステム上で売上情報の管理だけでなく、在庫情報の管理や店員の勤怠管理まで対応できます。しかし、POSシステムを導入するためには高額の専用端末(POSレジ)や、運用する際にサーバー・通信回線といったコストもかかります。
そのため、小規模の店舗ではなかなか導入が難しいというのが実状でした。
そこで、登場したのがモバイルPOSレジです。モバイルPOSレジは、スマホやタブレットといった端末にアプリをダウンロードして使うことができます。
アプリとなるため、高額な専用端末やサーバーは必要ありません。機能もPOSレジとしての十分な機能を備えているだけでなく、誰でも簡単に使える仕様になっているため、小規模の店舗でも導入するところが増えています。
モバイルPOSレジのメリット
モバイルPOSレジは、従来のPOSレジにはないメリットがたくさんあります。
1.コストが安い
まず、挙げられるのはコストの安さです。モバイルPOSレジを導入するために専用のPOSレジは必要ありません。新たに端末を用意したり、普段使用しているスマホやタブレット端末を流用したりすることも可能です。また、サービスの多くは月額制ですが、無料で使えるものもあるため、通常のPOSシステムを導入するのに比べれば、はるかに安い導入コストでPOSレジを導入できます。
2.導入が簡単
導入の際の簡単さも大きなメリットの一つです。モバイルPOSレジの導入は、専用のアプリを自身のモバイル端末へダウンロードするだけのため、わざわざ専用のサーバーや回線を用意する必要はありません。
モバイル端末のほかには、現金を入れるためのキャッシュドロワーやレシートを印刷するためのロール紙、プリンターがあればOKです。
そのほか、クレジットカード決済をしたい場合は、決済用のカードリーダーが必要となります。もし、クレジットカード決済を提供しないのであれば用意する必要はありません。
3.操作性が高い
操作のしやすさも見逃せないポイントです。いくら高機能であっても、店員が上手に使いこなせなければ意味がありません。
その点、多くのモバイルPOSレジはシンプルなデザインで見やすい画面レイアウトとなっているため、直感的な操作が可能です。タッチパネル画面での操作となるため、店員が通常のレジ操作に慣れている必要もありません。
これまでレジに触れたことがない人でも、日ごろからスマホやタブレットを使っている人であれば、比較的早く使いこなせるでしょう。
4.どこへでも持ち運べる
モバイルPOSレジは、スマホやタブレット端末をレジとして使用するため、どこへでも手軽に持ち運べる点もメリットです。
例えば、屋外でのイベントや移動販売といったケースでも活用できます。
また、モバイルPOSレジを店舗に設置する場合にも、広いスペースを必要としません。レジを置くスペースに困るような小さな店舗でも導入できますし、レジ周りをスタイリッシュなデザインにしたい場合にもおすすめです。
モバイルPOSレジの注意点
モバイルPOSレジを導入する際には、メリットだけでなく以下の3つのような注意点もあります。
ネットワーク環境
まず、挙げられるのはネットワーク環境の問題です。モバイルPOSレジは、ネット上のクラウドサービスを活用しているため、通信状態の悪いところでは使えません。ベンダー側が、そのようなサポートをしてくれるわけではないため、自身で店舗の通信状態をしっかりと確認しておく必要があります。また、停電や電波障害の際には「レジが使えなくなる可能性がある」というリスクがあることも押さえておきましょう。
プラン選び
モバイルPOSレジは、無料で使えるサービスも多いですが、無料版ではカスタマーサービスが不十分であったり、使える機能に制限があったりするなど、運用に支障を来す可能性が否めません。そのため、無料版を導入する際には、あらかじめ試用期間を設けるなどして使用感を確かめておくことが大切です。
有料版の場合、月額数千円の固定費が発生するものの、使える機能やサービスを増やすことができるため、人件費や時間短縮などを総合的に考慮すると有用なケースも多いでしょう。
モバイルPOSレジのなかには、「飲食店に特化したもの」「アパレルに特化したもの」などもあるため、さまざまなサービスのなかから自店舗に合ったものを選びましょう。
高速入力には向かない
モバイルPOSレジは、端末の画面にタップして入力するため、通常のレジのような高速入力には向きません。
例えば、飲食店などでレジ前に行列ができることが多い店舗の場合、モバイルPOSレジよりも通常のレジのほうが向いている可能性があります。
自社の店舗がレジ打ちに時間がかかっても問題ない業態なのかを確認しておくことも大切です。
キャッシュレス決済が可能になるスマホレジとは?
スマホレジとは、名前の通りスマホ端末がレジの代わりになるアプリです。スマホレジのシステムは、現状導入している店舗が限られますが、全国的に普及すれば店舗側だけでなく顧客にとっても利便性が高いシステムといえます。
大手コンビニや大手スーパーが積極的に導入を行っていることもあり、今後急速に拡大していく可能性を秘めているといえるでしょう。スマホレジには、顧客のスマホを使う場合と、店舗側で用意したスマホを使う場合の2種類があります。ここでは、2つのケースを解説します。
顧客自身のスマホを使う場合
顧客のスマホを使う場合、まず顧客は専用のアプリを自身のスマホにダウンロードしておくことが必要です。そのアプリ内でアカウントを作成したあとは、クレジットカードや決済サービスとの紐づけを行います。
店舗に入ったら、まずQRコードで入店の認証を行い、店内ではスマホで欲しい商品のバーコードをスキャンし、カゴに入れていくという仕組みです。最後に、スマホレジ専用のスキャナにスマホをかざして終了となります。
商品のバーコードをスキャンすることで決済が自動的に行われるため、レジに並ぶ必要がありません。国内では、大手コンビニのローソンが一部店舗でこのシステムを導入しています。
店舗でスマホを用意する場合
店舗でスマホを用意する場合、顧客は店内でそのスマホを使って欲しい商品のバーコードをスキャンしていきます。商品の選定が終わったあとは、専用のレジでデータ送信を行い、データ送信を行ったら清算方法を選び清算して終了です。
2020年3月から国内スーパー大手のイオンがこのシステムを導入したことで大きな話題となりました。導入店舗では、利用率が3割を超えているというデータもあります。
スマホレジのメリット
スマホレジは、顧客・店舗側双方にとってメリットが大きいシステムです。
顧客側のメリット
1.利便性の高さ
顧客のメリットの一つは、利便性の高さです。例えば、スマホレジが導入されていれば、顧客は自分のスマホで決済が完了させることができるため、財布を持ち歩く必要がありません。
また、自身のスマホにアプリをダウンロードするタイプの場合、決済時にポイントが自動的に付与されます。そのため、精算のたびにレジでポイントカードを提示する必要がありません。
また、そもそもレジに並ぶ必要がないため、スムーズに買い物ができることも大きなメリットです。
2.購入した商品が一目瞭然
スマホレジでは、バーコードをスキャンした商品がスマホの画面上に表示されるため、何を購入したかが一目瞭然です。そのため、買い忘れを避けることにもつながるでしょう。
画面では、商品それぞれの金額と合計金額も表示されるため、計画的に買い物をしたい顧客にとっても重宝します。
3.レジでスタッフとやり取りする必要がない
レジでスタッフとやり取りする必要がない点も、メリットの一つです。
新型コロナウィルスのまん延以降、買い物などの場面で「なるべく人との接触を避けたい」と考えるようになった人も多いのではないでしょうか。スマホレジを活用すれば、スタッフとやり取りしたり、現金に触れたりする必要もありません。感染症拡大の防止につながるシステムとしては、画期的といえるでしょう。
店舗側のメリット
1.人件費を削減できる
店舗側のメリットの一つは、人件費を削減できることです。スマホレジを導入すれば、レジ対応スタッフを減らせるため、少ないスタッフで店舗を回せるようになり経費削減につながります。
とりわけスーパー経営では、人件費が最も大きな負担となっている傾向のため、人件費の負担を減らすことができれば財務内容の改善につながるでしょう。レジスタッフ育成のための教育費も削減できます。
また、人員を減らさなくても、これまではレジ対応をしていた店舗スタッフを別の仕事に回すことができるでしょう。
これまでよりも質の高いサービスを提供できるようになれば、顧客満足度の上昇も期待できます。
2.顧客データを集められる
顧客データを集めやすい点もメリットです。顧客自身のスマホを使ったスマホレジの場合、アプリを通してさまざまな顧客データを把握できます。例えば、以下のようなことを把握することも可能です。
・どのような年齢層の顧客にどのような商品が売れているのか
・顧客が一度カゴに入れたものの、また元に戻した商品
こうしたデータを店舗の棚づくりやプロモーション活動、商品開発などに活かすことが期待できるでしょう。
スマホレジの注意点
メリットの多いスマホレジですが、導入する際の注意点もあるため、押さえておきましょう。
ここでは、顧客と店舗側でそれぞれにどのような注意点があるのかについて解説します。
使い勝手がいいと感じない方もいる
いくら便利なスマホレジでも、すべての顧客が使い勝手がいいと感じるわけではありません。例えば、顧客が自身のスマホで精算するシステムの場合、そもそも顧客がスマホを持っていなければ利用できません。
また、スマホを持っていてもアプリをダウンロードすることに抵抗を感じる人もいるかもしれません。さらに、スマホを持っていても「スマホレジでの購入の仕方がよく分からない」という顧客もいるでしょう。とりわけ導入当初は、そうした顧客への親身なフォローが大切です。
また、店舗側でスマホを用意するシステムの場合は、最終的にレジで精算する必要があることを顧客側にしっかりと伝えておく必要があります。その結果、「特に使い勝手が良いとは思わない」という顧客が出てくる可能性もあります。
導入に費用がかかる
店舗側のデメリットは、導入の際に一定の費用がかかることです。
顧客自身のスマホで精算する場合は、自社で専用のアプリを開発しなければなりません。店舗のスマホを使用するのであれば、専用のスマホを必要台数購入する必要があります。また、スマホレジ用の精算レジも用意しなければなりません。
スマホレジを導入する際には、これらの費用が総額でいくらになるのかをしっかりと把握しておくことが大切です。
また、導入後も一定のコストがかかる点も忘れてはいけません。例えば、自社アプリであれば、セキュリティ対策やアップグレードのための費用が必要です。また、店舗でスマホを用意した場合はそれらのメンテナンス費用がかかる可能性があります。なぜなら、顧客によっては自分のスマホではないため手荒に扱う可能性もあるからです。
万引き対策が必要
万引き防止の対策についても考えておかなければなりません。例えば、「商品のバーコードをスキャンせずにカゴに入れ、そのまま持ち帰ってしまう」といったことができないようにする必要があります。現状、多くのスマホレジ導入店舗では、最終的に指定の場所にカゴとスマホを置き、カメラを使ってスキャン漏れがないかを確認するシステムです。
しかし、今後より一層利便性を高める方向でスマホレジが進化した場合、そのシステムでは問題が発生する可能性もあります。そのため、導入後も継続的に万引きや未スキャン防止の対策を考えていく必要があるでしょう。
レジアプリの知識を深め、
店舗にあったものを
導入するようにしよう
モバイルPOSレジは、スマホやタブレット端末を利用して安価に導入できるため、資金に余裕がない小規模店舗に最適のシステムです。業種に合った機能を備えたモバイルPOSレジを選べば、コスト削減や作業効率化も期待できます。スマホレジには、多くの課題もありますが、解決が不可能なわけではありません。一度導入を検討してみてはいかがでしょうか。