mPOS(エムポス)とは
スマホ・タブレットを使ったPOSシステム
mPOS(mobile Point of
Sale、モバイルPOS:エムポス)とは、スマートフォンやタブレットに専用アプリをインストールし、カードリーダーなどの決済端末と接続して利用するPOSシステムです。
従来のPOS専用機に比べて導入コストが低く、場所を選ばずに運用できる点から、小売店や飲食店だけでなく、イベントや移動販売など幅広いシーンで活用が進んでいます。
キャッシュレス決済の普及に伴い、mPOSは中小規模の事業者にとって現実的な選択肢となりつつあります。
本記事では、mPOSと従来のPOSレジの違いからメリットや注意点、さらに主要なmPOSサービスの紹介など、mPOSのスムーズな導入に役立つ情報を詳しく解説します。
mPOSと従来のPOSレジの違い
mPOSはスマートフォンやタブレットを利用するクラウド型POSであり、従来から利用されてきた専用機ベースのPOS(POS専用機)とは仕組みも導入形態も大きく異なります。
どちらが優れているかというより、店舗の規模や業態に応じて選択するべきシステムです。以下に、その特徴を整理しました。
mPOSとPOS専用機の違い
※
※ POSターミナル WILLPOS-Unity M-8750 画像引用元:東芝テック株式会社
mPOSはスマートフォンやタブレットを活用できるため、導入コストや手間を大きく抑えられるのが最大の利点です。
アプリの追加やクラウドサービスとの連携により、売上分析や在庫管理など必要な機能を柔軟に拡張でき、スモールビジネスやイベント出店など幅広いシーンで活用されています。
一方、POS専用機は安定性と機能性に優れており、大規模店舗やチェーン展開を前提とする業態で力を発揮します。初期投資や維持費は高額ですが、専用ハードウェアならではの処理速度とフル機能が求められる現場では不可欠です。
要するに、mPOSは「手軽さと柔軟性」、POS専用機は「安定性と総合力」が強みであり、店舗の成長段階や業種に応じた選択が求められます。
mPOSの活用シーン
mPOSはスマートフォンやタブレットを活用できるため、設置場所や利用期間を問わず、多様なシーンで柔軟に使うことができます。特に、導入コストやスペースの制約が大きい業態において強みを発揮します。
mPOSの主な活用例
- 移動販売(キッチンカー、フードトラック)
- 期間限定のポップアップストア
- 百貨店やショッピングモールの催事出店
- 野外フェスやイベント会場での物販
- カフェや小規模飲食店
- 個人経営の小売店やブティック
- 美容室・ネイルサロンなどの小規模サロン
- 訪問販売や出張サービス(ハウスクリーニング、修理業など)
- スポーツジムやカルチャースクールの月謝徴収
- 医療・クリニックの会計補助(簡易決済用)
- 個人タクシーでの運賃精算
mPOSは、常設店舗での会計にとどまらず、「どこでもキャッシュレス決済を受け付けたい」というニーズに最適です。イベントや短期出店のように専用POSを設置するのが難しい場面でも、スマホやiPadとカードリーダーがあればすぐに決済環境を整えられます。
また、カフェや小規模店舗のようにレジスペースが限られている場所では、コンパクトに設置でき、顧客の待ち時間を減らせるのも大きなメリットです。業態や規模を問わず、柔軟に使える点がmPOSの真価といえます。
mPOSのメリットと注意点
mPOSは手軽に導入でき、スマートフォンやタブレットならではのさまざまな利点がある一方で、運用上の注意点も存在します。
まず、mPOSの主なメリットとして以下の点が挙げられます。
mPOSの主なメリット
- 初期費用が安く、無料プランから導入可能
- 省スペースで持ち運びが容易
- クレジットカード、電子マネー、QR決済に幅広く対応可能
- イベントや短期出店など一時的な利用にも適する
- 成長に合わせてプランや機能を拡張できる
- クラウドでデータを管理し、リアルタイムで確認可能
また、主な注意点としては以下のような点が挙げられます。
mPOSの主な注意点
- 通信環境に依存し、電波が弱い場所では利用制限がある
- OSアップデート時に一時的な不具合が生じるリスクがある
- サポート体制はサービスにより差があり、専用POSに比べると弱い場合がある
mPOSの最大の強みは、初期コストを抑えてすぐに導入できる点です。スマートフォンやタブレットを使うため、省スペースで場所を選ばず、イベントや移動販売など短期利用にも適しています。
また、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済といった主要なキャッシュレス決済に幅広く対応できるため、小規模店舗でも顧客ニーズに応えやすくなります。
一方で、通信環境に依存するため、電波が不安定な場所では決済が滞るリスクがあること、スマホやタブレットのOSアップデート時に一時的な不具合が生じる可能性があることには注意が必要です。
サポート面にも注意が必要です。POS専用機のように導入から保守まで手厚いサポートがあるわけではなく、サービスによっては問い合わせ手段が限定的な場合もあるため、選定時には、自店舗にとって十分なサポート体制かどうかを確認することが重要です。
主要4社のmPOSを比較
近年、多様なmPOSサービスが登場していますが、どれを選ぶべきか判断に迷う方も多いと思います。
そこで、まずは日本国内の代表的なmPOSサービスとして利用されている「スマレジ」「Airレジ」「Square POSレジ」「STORESレジ」の4社を比較し、その特徴を整理していきます。
mPOS4社の比較表
プレミアム: 5,500円
プレミアムプラス: 8,800円
フードビジネス: 12,100円
リテールビジネス: 15,400円
ベーシックプラン: 4,950円
JMSおまかせサービス
stera tarminal
StarPay
STORES決済
Square
楽天ペイ
ペイメント・マイスター
Square
中小事業者向けプラン適用:1.98%〜
ディスカウントプログラム適用:2.48%
(年間キャッシュレス決済額が3,000万円以上の場合は3.25%)
フリー(※):2.48%
スタンダード(※):1.98%〜2.38%
※年間のキャッシュレス決済額が3,000万円未満かつ中小事業者が対象
※通常39,600円
39,980円(Squareターミナル)
※スタンダード:0円
・365日体制のサポートデスク
・1年保証付き
・電話サポート
・メールサポート
・全国のビックカメラで店頭相談受付
・電話サポート
・メールサポート
・加盟店のコミュニティサイト
・問い合わせフォーム
参考:スマレジ、Airレジ、SquarePOSレジ、STORESレジ
表からも分かるように、同じmPOSサービスでも対応決済ブランドや手数料体系、サポート内容には違いがあります。特に、キャンペーンや限定プランなどによって費用が大きく変動するため、導入時期によって有利に始められるサービスもあります。
各サービスについて、以下に詳しく解説します。
1: スマレジ

スマレジは、クラウドPOSレジの代表格として知られており、iPhoneやiPadにアプリをインストールすることでmPOSとして利用可能です。無料プランから始められるため、イベント出店や小規模店舗でも手軽に導入でき、必要に応じてプレミアムプランや業種特化型プランにステップアップできます。
キャッシュレス決済は、マルチ決済端末 「PAYGATE(ペイゲート)」と接続することで、主要なクレジットカード・電子マネー・QRコード決済にワンストップで対応することができます。
マルチ決済端末「PAYGATE」
決済手数料は条件により1.98%〜と業界でも低水準です。さらに、台数限定で端末が0円で提供されていることもあり、初期費用を抑えて導入を始められる点は大きな魅力です。
また、スマレジはmPOSとしての利便性にとどまらず、売上分析や在庫管理、顧客管理といったクラウドPOS機能を標準搭載。
さらに「スマレジ・アプリマーケット」から多彩な業務アプリを追加インストールできるため、店舗の成長や業態に合わせて柔軟に機能を拡張できます。
スマレジ公式サイト
2: Airレジ
Airレジは、リクルートが提供する無料のmPOSサービスで、iPhoneやiPadにアプリをインストールするだけで会計や売上管理が可能です。初期費用・月額費用ともにかからず、スモールスタートしやすい点から、個人経営の飲食店や小売店に広く利用されています。
キャッシュレス決済を導入する場合は、「Airペイ」専用端末を組み合わせることでクレジットカード・電子マネー・QRコード決済に対応可能です。
主要国際ブランドに加え、交通系ICやiD、QUICPay、さらにPayPayをはじめとしたQRコード決済など、数十種類の決済を1台で処理できる高いブランド対応力を持っています。
決済手数料は通常3.24%〜ですが、ディスカウントプログラムを利用すると2.48%まで下げられるため、導入コストだけでなくランニングコストの面でも優れています。
予約・顧客管理などのAirシリーズの他サービスとも連携でき、シームレスな店舗運営を実現できます。小規模な飲食店から、イベントやポップアップストアなど一時利用の現場まで、柔軟に対応できるmPOSサービスです。
Airレジ公式サイト
3: Square POSレジ
Square POSレジは、アメリカ発の決済サービスをルーツに持ち、日本でも幅広く導入されているmPOSです。
iPhoneやAndroid端末にアプリをインストールし、専用のSquareリーダーやSquareターミナルを接続するだけで利用可能です。iOS専用のサービスが多い中で、Android対応している点は大きな強みといえます。
初期費用・月額費用はともに無料、決済手数料のみというシンプルな料金体系で、小規模事業者でも導入のハードルが低い点が支持されています。
決済手数料はクレジットカード・QRコード・電子マネーいずれも3.25%前後と分かりやすい設定で、煩雑な条件がないのも魅力です。端末はシンプルなSquareリーダーや、プリンターを内蔵したSquareターミナルなど、利用シーンに合わせた端末を選べます。
POS機能としては、売上集計や簡易的な在庫管理、スタッフ管理を備えており、SquareインボイスやSquare予約などの関連サービスと連携することで機能拡張も可能です。
Square POSレジ公式サイト
4: STORESレジ
STORESレジは、もともと「Coiney(コイニー)」として登場したモバイル決済サービスをルーツに持ち、決済の手軽さを起点に、POSレジとしての機能を備えた形に進化してきた経緯があることから、“まずはキャッシュレス決済を導入したい”という事業者にとって扱いやすいサービスとなっています。
決済手数料は電子マネーが1.98%〜と競争力があり、専用カードリーダーも19,800円(税込)とシンプルな価格設定。小規模事業者でも導入ハードルが低く、実際に導入件数を伸ばしている要因のひとつです。
POSレジとしては、売上管理や在庫管理といった基本機能を備えるだけでなく、STORESの他サービス(STORES決済・STORES予約・STORESネットショップ)などと組み合わせることで、オンラインからオフラインまで一気通貫で店舗運営を支援できます。
スマホアプリを活用したモバイル性と直感的な操作性はもちろんのこと、「STORESエコシステム」の一部として使うことで、単なるmPOS以上の効果を発揮できるのが魅力です。
STORESレジ公式サイト
mPOSをより効率化する周辺機器
mPOSは、最小限の構成ではスマートフォンやタブレットとカードリーダーだけで利用できます。しかし、現金決済やレシート発行などに対応する場合は、周辺機器を追加することで機能を補うことが可能です。
mPOSで活用できる主な周辺機器
mPOSはキャッシュレス決済を主軸としているため、カードリーダーのみで運用できるシンプルさが大きな魅力です。
ただし、顧客の年齢層や業態によっては、現金決済やレシート発行が欠かせないケースも少なくありません。その場合は、レシートプリンターやキャッシュドロアといった周辺機器を追加することで、mPOSをより実店舗に即した形で活用できます。
また、mPOSのモバイル性をフルに活かすためには、周辺機器もモバイル性を意識して選ぶことが重要です。
例えば、野外イベントであれば据え置き型ドロアよりもモバイル金庫タイプが適していますし、レシートプリンターやバーコードスキャナーも携帯性の高いモバイルタイプを選んだ方が現場にフィットします。
用途に合わせて周辺機器を選ぶことで、mPOSはより実用的な決済環境になります。
なお、下記記事にて周辺機器を含めた導入費用について詳しくまとめていますので、周辺機器を含めたmPOS一式の導入を検討されている方は、本記事とあわせてぜひご覧ください。
関連記事:POSレジ導入に必要な機器一式の価格は15万円程度
mPOSを選ぶ際に見落としがちな6つのポイント
mPOSを導入する際には、料金や機能面の比較は当然の前提となります。しかし、mPOSはモバイル端末を基盤とする仕組みであるため、その特性に起因する確認すべき重要なポイントが存在します。
以下に、mPOSを選ぶ際に重要ながら見落としがちなポイントを解説します。
1: セキュリティ面の安全性
キャッシュレス決済を中心に利用されるmPOSでは、クレジットカードの取扱件数も多くなります。そのため、カード情報は端末で生データを扱わず、リーダー側で暗号化され、PCI
DSSなどの国際基準に準拠していることが重要です。
また、端末紛失時のリモートロック・ワイプ、スタッフ権限や操作ログ、二段階認証の有無も確認をしておきましょう。
不正利用や情報漏洩に対する対策を十分に講じているかどうかが、選定時の重要な判断基準となります。
2: オフライン時の制限
mPOSはモバイル回線やWi-Fiを前提としているため、通信が途絶すると利用可能な機能に制限が生じる場合があります。
そのため、導入にあたっては通信障害発生時にどの範囲まで取引が可能かを事前に把握しておくことが重要です。
また、最悪の場合に備え、キャッシュレス決済が利用できなくなっても現金で対応できる体制を整えておくことも不可欠です。
3: 通信回線の確保方法
利用環境に応じて、固定Wi-Fiで運用するのか、SIMカードを挿入した端末やテザリングを利用するのかをあらかじめ検討しておく必要があります。
イベントや移動販売など屋外での利用が多い場合は、混雑時の通信遅延やアクセス集中も想定し、予備スマホを用意しておく、テザリング可能な端末を複数確保しておくなど、現実的な保険措置を取っておくことが望ましいです。
決済処理は通信の安定性に大きく左右されるため、安定した回線環境を整備することが欠かせません。
4: 周辺機器を含めた接続の安定性
カードリーダーやレシートプリンターなどの周辺機器は、多くがBluetoothやWi-Fiで接続されます。接続の不安定さや干渉によって、取引が中断したり印刷ができなくなるリスクもあります。
そのため、同時接続できる機器数や再接続の容易さ、更新時の互換性などを確認し、安定して運用できる構成を選定することが重要です。
また、無線通信が利用できなくなった場合に備えてUSBケーブルなどを常備する、レシートプリンターが使えなくなった際には手書きの領収書に切り替えるといった代替策を準備しておくことも、実務上の安定運用には欠かせません。
5: バッテリー持ちと電源確保
mPOSはスマートフォンやタブレット本体だけでなく、カードリーダーやプリンターなど複数の機器に依存しています。バッテリー切れは即時に決済不能につながるため、稼働時間を見積もった上でモバイルバッテリーや予備機を準備することが必要です。
特にイベントや屋外利用では電源確保が難しい場合もあるため、充電体制を事前に整備しておくことが求められます。
また、スマートフォンや周辺機器のバッテリーは使い続けるうちに劣化し、満充電でも稼働時間が短くなることがあるため、長期利用を前提とする場合は、端末の買い替えタイミングやバッテリー交換の可否も考慮しておくと安心です。
6: アプリやOSアップデート時の影響
mPOSはアプリやモバイルOSに依存して動作するため、アップデートにより一時的な不具合や仕様変更が発生する場合があります。導入にあたっては、自動更新を制御する仕組みや、アップデート前に検証を行う運用ルールを設定することが望ましいです。
また、アプリの更新履歴やサポート体制を定期的に確認し、安定した運用が可能かどうかを見極めることが重要です。
まとめ
mPOSは、スマートフォンやタブレットにアプリとカードリーダーを組み合わせて利用できる、柔軟性と機動力に優れたPOSシステムです。
小規模店舗からイベント、移動販売まで、さまざまな業態で導入が進んでおり、コストを抑えながらキャッシュレス決済に対応できる点が大きな魅力です。
ただし、導入にあたってセキュリティやオフライン対応、周辺機器との接続安定性といった実務的な側面を見落としがちになるため、導入を検討する際には、費用や機能表だけでなく、このようなポイントも含めて比較・検討することが重要です。
自店舗の利用シーンや運用体制を踏まえて適切なサービスを選択することで、mPOSは日々の業務を支える強力な基盤となります。
100以上の機能!なんでもできるPOSレジ
1〜100店舗以上まで、どんな業種・お店にも対応
EC連携/在庫管理/多店舗管理/各種分析/セルフレジ
キャッシュレス決済はこの端末1台で!
初期費用・端末代0円/決済手数料率1.98%~
プリンター内蔵/4G/wifiだから持運び先で決済完結
_