セミセルフレジの特徴と
7つのメリットやトラブル対応の解説
更新日:2024/11/13
セミセルフレジとは、商品のバーコードスキャンや価格入力はスタッフが行い、その後の精算作業を顧客自身が行うタイプのレジです。通常、スタッフがバーコードスキャンを終えた後、顧客を自動精算機に案内し、そこで精算を行うのが一般的な流れです。
レジ業務の一部を顧客に委ねるセミセルフレジを、すべての操作を顧客が行うフルセルフレジと比較した際の大きな特徴は下記の点です。
セミセルフレジの特徴
- レジ待ち時間がより短縮される
- スタッフのサポートにより顧客の負担が軽減される
本記事では、セミセルフレジについて詳しく解説するとともに、フルセルフレジとの違いや業種ごとの特徴、また導入によるメリットや想定されるトラブル対応まで解説してまいります。
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「セミセルフレジ」と「フルセルフレジ」の違い
セルフレジの導入を検討している店舗は、「セミセルフレジ」と「フルセルフレジ」のどちらを導入するかで悩むケースが多いです。そこで、セミセルフレジとフルセルフレジの違いについて表にまとめて比較してみました。
セミセルフレジとフルセルフレジの違い
比較項目
セミセルフレジ
フルセルフレジ
スタッフが商品登録を行い、顧客が支払機で支払いを完了する
顧客が商品登録から支払いまで全ての操作を行う
セミセルフレジとフルセルフレジの一番の違いはスタッフの有無です。セミセルフレジはスタッフが会計に立ち会うため不正リスクも低く、顧客は支払い操作のみで、必要に応じてスタッフがすぐにサポートできるため、フルセルフレジに比べて顧客の負担が少なく済みます。
また、操作に慣れているスタッフが商品登録を行うため、すべての操作を顧客が行うフルセルフレジと比べて、1台あたりの待ち時間で比較すると短縮されやすい面があります。特に、商品点数の多いスーパーなどでは、従来の有人レジやフルセルフレジと比べると待ち時間に大きな差が出ます。
ただし、セミセルフレジの場合はレジ要員が費用になるため人件費がかかります。精算の業務分は削減できますが、無人化できるフルセルフレジと比べると、そこまでのコストカットは期待できません。
次に、導入費用について詳しく解説します。
セミセルフレジの導入費用の目安は100〜200万円
セミセルフレジの導入費用は100〜200万円程度です。スーパーなどで利用される大型のレーンタイプの場合は300〜400万円程度と高額になりますが、一般的なタイプであれば、フルセルフレジの導入費用と比較するとやや価格が低い傾向があります。
いずれも機種やプラン・サービス内容によって異なりますので、検討各社の見積もりをしっかり確認しましょう。
ただし、注意しておかなければならないのが「自動釣銭機」の有無です。
自動釣銭機設置の場合の導入費用は150〜300万円程度になる
自動釣銭機は、会計時に現金の受け取りと釣銭の計算・排出を自動で行う機器です。セミセルフレジは、キャッシュレス決済のみの仕様でも導入可能ですが、通常は自動釣銭機を共に導入して、現金の取り扱いも可能にすることが一般的です。
自動釣銭機
自動釣銭機の費用相場は50〜100万円になるため、トータルの導入費用は150〜300万円程度を見込んでおく必要があります。
高額ではありますが、現在も現金のニーズはありますし、長期的な効率化につながるため、セミセルフレジは自動釣銭機の導入もあわせて検討すべきでしょう。
それでは次に、セミセルフレジの特徴を業種ごとに解説してまいります。
業種ごとのセミセルフレジの特徴
セミセルフレジは様々な業種で活用されていますが、業種ごとに機能や運用の仕方に特徴があります。ここでは、「飲食店」「小売店」「クリニック・薬局」の3つの業種に絞って、それぞれの特徴を見ていきます。
「飲食店」で利用されるセミセルフレジ
飲食店におけるセミセルフレジでは、注文と支払いを分離する運用が一般的です。スタッフがテーブルで注文を受け、顧客は精算機で支払いを完了するため、テーブルサービスを維持しながらも会計業務の効率化を実現しています。
回転寿司チェーンなどで見かけることが多いですが、事前にオーダーと紐づいたQRコードやバーコードを顧客に渡しておき、会計時は顧客自身がレジにコードを読み込ませて精算を行うことが可能です。
また、テーブルに設置されたQRコードを顧客が自身のスマートフォンで読み取ってQRコード決済を行うことも可能で、この場合は食後にレジに行く必要もなく、その場で会計ができるため、非常にスムーズな支払い体験を提供することが可能です。
「小売店」で利用されるセミセルフレジ
小売店では、商品のバーコードをスキャンする作業と支払いを分離する形で導入されることが多いです。商品登録はスタッフが行い、顧客は支払い専用の端末で決済を行う仕組みで、スーパーに導入されているレーンタイプや、コンビニエンスストアに導入されているセミセルフレジが代表的です。
特に、顧客数や商品点数が多いスーパーなどでは、回転率を高めるために、1台のレジに対して複数の精算機を設置するケースもあります。
小売店に特化した機能としては、会計時にキャンペーンコードやクーポンを適用できる機能が搭載されていることがあり、これにより特典を活用したい顧客に対する対応がスムーズに進みます。
「クリニック・薬局」で利用されるセミセルフレジ
クリニックや薬局でのセミセルフレジは、レセコン(レセプト・コンピュータ)や電子カルテとの連携機能が必須になります。この機能により、患者ごとの診療報酬や薬剤費が自動計算され、POSレジに会計情報が反映されます。
診療データと会計データが一元管理されることで、データの不一致やミスが減少し、トラブルの防止に役立ちます。
また、クリニックなどの医療現場では、自動釣銭機の導入が急速に進んでいる特徴があります。会計時の混雑回避や現金の受け渡しの撤廃は、感染症対策を重視する医療現場では、今や必須の対応となっているためです。
次に、セミセルフレジ導入のメリットについて解説します。
セミセルフレジ導入の7つのメリット
セミセルフレジは、導入することによって多くのメリットをもたらします。ここでは、セミセルフレジの7つのメリットを紹介します。
メリット1:現金管理の負担軽減
セミセルフレジの大きな特徴でありメリットとなるのは、顧客とスタッフが直接現金のやり取りをしない点です。これにより、受け取った現金の計算ミスや釣り銭の渡し間違い、レジへの入力ミスを防ぎやすくなります。セミセルフレジを導入することで現金の過不足問題が解消され、レジ締め作業や売上金の管理も効率化できます。
現金管理にかかる負担が軽減されることで、スタッフは在庫管理や翌日の営業準備といった他の業務に時間を割けるようになります。
メリット2:人手不足の解消
セミセルフレジを導入することで、従来スタッフが行っていたレジ業務の一部を自動化できます。これにより、人員配置の仕方にもよりますが、必要なスタッフの数を減らすことができ、人手不足の解決につながります。
また、新たな人材を確保する機会や採用したスタッフの研修の手間が減るため、採用コストや育成コストの削減も実現できます。このようなコスト削減によって、利益の向上も見込めるでしょう。
メリット3:レジ待ち時間の短縮
レジでの会計時間が短縮されることで、経費の削減だけでなく、顧客満足度の向上も図ることができます。時間に余裕のない顧客や、長時間のレジ待ちに不満を抱える顧客にとって、スムーズな会計は大きな魅力です。また、レジの行列を見て入店を諦める人を減らすこともできます。
セミセルフレジを導入し会計処理を効率化することで、待ち時間を短縮し、店内の回転率を高めることができるため、顧客の身体的・心理的負担の軽減にもつながります。
メリット4:会計ミス・不正の防止
先に述べたように、セミセルフレジでは自動釣銭機が導入されることが一般的です。自動釣銭機は、正しい金額を投入しないと会計が完了しない仕組みになっており、スタッフによる現金の取り扱いがほとんどなくなります。そのため、釣り銭の渡し間違いや会計ミスを防ぎやすくなるほか、スタッフによる不正行為の抑制にも効果的です。
また、現金の出し入れがPOSレジに記録されるため、スタッフに安心してレジ業務を任せることができます。さらに、フルセルフレジでは生じる可能性のある「商品をスキャンせずに袋詰めする」といった不正行為も、セミセルフレジなら防止しやすいメリットがあります
メリット5:感染症対策
セミセルフレジの導入は、衛生面におけるメリットももたらします。顧客とスタッフが現金の受け渡しをしなくなるため、感染症対策としての効果が期待されます。これにより、スタッフの安全を守るだけでなく、顧客の不安を軽減する効果もあります。
特に衛生管理が徹底されていない店舗を避ける顧客に対しても、セミセルフレジの導入は安心感を提供します。さらに、会計が迅速化されることで混雑が緩和されるため、密集のリスクも減少し、これもまた感染症対策の一環として有効です。
メリット6:キャッシュレス決済の推進
セミセルフレジは、現金に加えてクレジットカードや電子マネー、QRコード決済など、多様な決済方法に対応可能です。顧客は自分の慣れた支払い方法を選び、スタッフが各決済方法を都度確認する必要がないため、迅速でスムーズな支払いが可能です。
多様なキャッシュレス決済に対応することで、幅広い顧客層のニーズに応えられる点もセミセルフレジの大きなメリットです。
メリット7:サービス品質の維持
セミセルフレジはスタッフが一部サポートするため、顧客とのコミュニケーションを維持しやすく、質問や相談が可能です。これにより安心感が生まれ、店舗への信頼性向上やリピーター増加につながります。
また、スタッフの業務負荷が軽減されることで接客に専念でき、サービス品質の向上が期待できます。顧客からのフィードバックも収集しやすく、店舗運営の改善に役立てることが可能です。これにより、効率化と顧客満足度の両立が実現します。
このように様々なメリットが得られるセルフレジですが、導入によっていくつかのトラブルが発生する可能性もありますので、次項にて解説してまいります。
セミセルフレジで起きやすい5つのトラブル事例と解決法
ここでは、セルフレジ導入によって起こりうるトラブルについて5つの事例を紹介します。これらを事前に把握して、迅速な対応ができる体制を準備しておくことが重要です。
事例1:顧客への説明が長引く
セミセルフレジでは、商品スキャンはスタッフが行いますが、支払い作業は顧客自身で行います。操作手順はディスプレイに表示されるものの、不慣れな顧客には初めての操作が難しく感じられることがあります。何度か利用していても、慣れるまでは時間がかかる場合があるため、スタッフがサポートに追われることが多くなります。
さらに、サポートに時間がかかると、待っている他の顧客に迷惑がかかるほか、スタッフの本来の業務にも影響が出る可能性があります。
解決方法:スタッフの十分な教育
導入前にスタッフの十分な教育を行います。特に導入初期には、スタッフの知識と理解がトラブルの防止に直結します。操作方法を全員が把握するための研修を行い、どのような商品や支払い方法にもスムーズかつ丁寧に対応できるようにすることが重要です。顧客への説明を簡潔かつわかりやすく行うためのトレーニングを定期的に実施しましょう。
また、スタッフの負担を最小限に抑えるために、利用方法を説明する案内ポップを作成して掲示するのも効果的です。その際、イラストを取り入れ、世代を問わずわかりやすいデザインにすることが重要です。ディスプレイ表示だけでは抵抗感を持つ人もいるため、紙ベースの案内を併設することで、注意を引き理解しやすくなります。
事例2:支払いを忘れによるトラブル
セミセルフレジの操作に慣れていない顧客が、支払いを忘れて店を出てしまうケースも発生します。商品スキャンと支払いが分かれているため、スキャンが終わった時点で会計も済んだと誤解することが原因です。
また、混雑時には故意に支払いを避ける場合も考えられます。すぐにスタッフが気づけば大きな問題にはなりませんが、見逃すと深刻なトラブルに発展する恐れがあるため注意が必要です。
解決方法:防犯カメラの設置
顧客が支払いをせずに店舗を出てしまうケースでは、防犯カメラの設置が効果的です。支払いを済ませたと誤解して退店した顧客も、映像で特定しやすくなります。また、故意に支払いを避けようとする人に対しても大きな抑止力となります。
防犯カメラの設置に加えて、「防犯カメラ稼働中」などの表示を目立つ場所に掲示することで、不正行為への警戒心を高められます。これにより、不正防止が強化され、特に人件費削減を目的とする店舗でのトラブル回避に大きな効果を発揮します。
事例3:顧客同士のトラブル
セミセルフレジに不慣れな顧客が操作に戸惑い、精算が長引くと、次に待っている顧客が苛立つことがあります。顧客同士のトラブルは様々なケースで起こり得ますが、こうした状況が原因で、顧客同士の言い争いが発生するケースが多く、スタッフが仲裁に入らなければならない事態につながることがあります。
他の顧客やスタッフにも危険が及ぶなどの大きなトラブルに発展するリスク。もあるため、注意が必要です。
解決方法:混雑を緩和するための工夫を行う
セミセルフレジでの顧客同士のトラブルを防ぐため、優先レーンの設置、混雑状況のリアルタイム表示、時間帯ごとの利用制限など、混雑緩和のための施策が有効です。
優先レーンを設けることで、高齢者や操作に不安がある人を他の顧客と分け、スムーズな対応が可能です。また、店内に混雑状況をリアルタイム表示し、「混雑しています」「こちらのレジが空いています」などの情報を提供して、顧客を空いているレジへ誘導することで待ち時間を減らせます。
さらに、ピーク時には有人レジに切り替えるなどの利用制限を導入することで、トラブルのリスクを軽減できます。
事例4:硬貨の大量投入による故障
現金支払い対応のセミセルフレジでは、硬貨の大量投入により機械が故障するリスクがあります。特に、大量の硬貨を一度に入れたり、無理に投入しようとしたりすると、精算機が停止する原因になります。
最近では、硬貨の取り扱いに手数料を課す金融機関が増えており、セミセルフレジで大量の硬貨を使用する顧客が増えたことも、トラブルの頻発に影響しています。
解決方法:顧客への注意喚起と定期的なメンテナンス
予防策として「一度に大量の硬貨を投入すると機械が故障する恐れがあります。10枚ずつゆっくりと投入してください」あるいは「硬貨を無理に投入せず、詰まった場合はスタッフにお知らせください」などの案内をレジ周辺に設置しておきましょう。
また、セミセルフレジの故障リスクを減らすためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。サービス提供会社でしか対応できない部分もありますが、店舗側でも可能なメンテナンスがあります。
例えば、丁寧な清掃や消耗品の交換は店舗で対応できるでしょう。また、システムのアップデートやセキュリティチェックも重要です。導入が終わりではなく、日々の扱い方次第でトラブルの頻発を防ぎ、機器の寿命を延ばせることを認識しておく必要があります。
事例5:機械が不具合を起こす
事例4のケースのような故障の他にも、セミセルフレジでは、バーコードリーダーやタブレット端末が故障するなどの機械的なトラブルが起こる可能性があります。バーコードが読み取れない、重量センサーの誤作動、決済機器の不作動といった問題が代表的です。
また、これらのトラブルは機器提供会社側のシステム障害によって発生することもあり、その場合は、復旧まで現金払いしか対応できなくなることがあります。頻繁に発生すると、店舗の信頼に影響を与える恐れがあります。
解決方法:サポートが手厚いサービスを選ぶ
店舗で対応が難しいトラブルは、セミセルフレジのサービス提供会社のサポートを利用することが多くなります。サポートが充実したサービスを選ぶことで、トラブル発生時にも迅速かつ適切な対応が期待できます。サポート内容に加え、トラブル時の連絡方法も事前に確認しておくことが大切です。
また、サポート料金や対応のスピードについても把握しておく必要があります。さらに、定期的なメンテナンスを提供するサービスを選ぶことで、トラブルの予防に役立ちます。
スマレジのセミセルフレジ
スマレジはiPadをレジ端末として活用できるクラウド型のPOSレジです。スマレジのセミセルフレジでは、オプション機能を活用することで、店舗の運営にあわせたセミセルフレジを利用することが可能です。
オプション機能「セミセルフレジ端末」を活用する
スタッフがレジ作業を行い、支払方法の選択と支払いを顧客が行う場合は、オプション機能の「セミセルフレジ端末」を導入することで、カスタマーディスプレイで顧客自身による支払方法の選択が可能になります
決済方法の追加や背景色・文字色の設定によるディスプレイデザインのカスタマイズが可能で、店舗のイメージに合わせた柔軟な設定ができます。また、セミセルフレジ端末は、レジフローに取り込みやすく、スタッフが日々行うレジ業務の工数削減への効果が大きいです。
オプション機能のセミセルフレジ端末(カスタマーディスプレイ)は、1台につき月額1,320円で利用可能です。
オプション機能「セミセルフレジ端末」の画面
スマレジのセミセルフレジについて、詳しくは下記公式ページをご覧ください。
スマレジのセミセルフレジ
セミセルフレジは好意的に受け入れられており導入価値は高い
セルフレジ、特にセミセルフレジの普及が進んでいます。複数の調査によれば、セミセルフレジに対して抵抗を感じる人は少なく、むしろ好意的な印象を持つ人が多数を占めています。この傾向は今後も続くと考えられます。
その理由には、キャッシュレス化の進展や、衛生面を気にする人、時間を重視する人が増えていることが考えられます。
さらに、スマートフォンやタブレットの普及に伴い、特に若い世代ではセミセルフレジを受け入れる傾向が強まっています。操作も比較的簡単で、一度覚えれば問題なく利用できると感じる人が多いため、顧客の利便性を考慮するなら、セミセルフレジの導入は積極的に検討する価値があるでしょう。